2016年7月26日火曜日

[3Dモデル]機械クジラ製作記

 こちらでは、はじめまして、junjiといいます。ネットの別の場所ではsaizwong名義でも色々と創作活動しています。もし見かけた人がいましたら、その節はどうも。
 
 アプリバ!では現在、ゲーム制作の前段階として簡単なプロモーションムービー的なものを制作中です。
 内容としては大昔に海に沈んだ機械のクジラが長年の眠りから覚めて浮かび上がり、空に向かって泳いで行く……というちょっぴりファンタジックな感じの映像になりそうです。
 現状としては背景画像の一部と私の作ったクジラの3Dモデルが一通り完成し、これから動画の制作にも本格的に入っていこうかという感じです。



 そこで、せっかくなので、この場を借りて簡単に私の3Dモデルの制作工程を書いていきたいと思います。
 あくまで自我流の素人のやり方なので、本業の人達から見れば技術も足りなければ無駄も多いとは思いますが、これから始めたいと思う人に少しでも参考になればと思い書いてみます。また、3Dをやらない人も、こんな感じで作ってるんだという理解が広まればいいなと思います。

 今回の3Dのクジラモデルですが、元はこのデザインを見たところから始まっています。
 非常に細部まで描きこまれた素敵なデザインで、これを生かした何かが作れないかと思ったのが全てのきっかけでした。

 3Dモデルを作る際、可能であれば上面、側面、正面を描いた俗にいう3面図が欲しいところです。そして、この3面図を箱状にするか下絵として設定し、それに沿ってモデルを製作していくというのが比較的スタンダードなやり方だと思います。
 ですが、今回は側面からのデザインのみで、上面や正面が無く、また片側がどうなっているかもよく見えないので、この辺りは想像で補っていくというか、自分のオリジナルで付け加えていくことにしました。また、図面ではないため、絵に迫力を出すためかちょっと強めのパースがかかっているため、これも考慮したうえで制作することになります。


 まずは、クジラの大まかなパーツを見ていきます。目立つ点としては体がいくつかの節に別れていること、そしてたくさんの目を持っていること、体の上にはいろいろなパーツがごっちゃについていること、でしょうか。
 そこで、特徴的な体の節、大きな目、そしてパーツの中でも割と目立っていたサイレンと歯車を作り配置していきます。


 次に材質の設定です。材質は細かく設定すればその分できることも増えるのですが、エフェクトを設定したい時などは手間がかかったりするので、多すぎず少なすぎずを目指します。今回は機械部品の体と光る目、背中の部品に材質を設定することにしました。また、この時点ではできていませんが、内部機械や紐やパイプなどは調整のために別材質にしておきます。

 続いてテクスチャの設定ですが、クジラは各部にテクスチャを作っていると手間がかかると考えたので、パーツごとに設定し、このパーツをコピーしていくという手法を取ることにしました。結果、どうしても元の絵とは異なる見え方になってしまう部分もできてしまいますが、そこはお目こぼしを……。
 具体的には目、リベット(板を止めるためのネジのようなもの)、歯、パイプやコード、歯車、シャッターなどのパーツは繰り返して仕える為、これらにテクスチャを貼ったものを作っていきます。体の部分にも大まかなテクスチャを貼っておきます。
 本当に綺麗なモデルを作りたければ、きちんとテクスチャ展開を覚えた方がいいとは思いますが、複雑なモデルになってくるほどその手間も倍増するので、繰り返せる部分をある程度見積もってしまうというのも機械ならではですし、趣味のモデリング程度なら十分ありだろうと思っています。


 更に増やしたパーツで各部ごとにディテールを入れていきます。今回はわりとシンプルだった鰭からディテールを入れていき、次いで尾から体の中央に向かって作り、都度頭のディテールも追加していった感じです。この順番に関してはその時に作りたい部分から作っていって良いと思いますが、隠れてしまう部分が出てくると後々調整が面倒なので、体の上に来るようなパーツは後回しにしていったほうが良いと思います。今回で言えば、背中についているジェネレーターのような部分や、歯車の付いている棒、ブリッジのようになっている背中の板などはなるべく終わりごろに作っていきます。


 見えない部分などですが、恐らく同じ片側と形だろうと思う部分は反転させた鏡像で補います。3Dモデルとしては綺麗な左右対称であることが作業する側としては楽なのですが、鏡像にした部分も若干手を入れて崩したりすると、気づきにくいのですが微妙な味も出てきます。
 また、内部の機会は円筒形の物を作り、これを中に入れ込みました。これはさすがに全てをモデリングすると途方もない作業量になり、またパソコンにも負荷をかける上に、見える機会も少ないので専用のテクスチャを貼り付けて表現します。そして、全く見えないのもつまらないので、絵を参考に体の体表部分から押し出し機能ないしブーリアン機能を使って穴を開けていきます。

 体で曲がる部分に関しては頂点と辺がないといけないので、必要に応じてナイフを使って切れ込みを入れていきます。とはいえ、機械でぐにゃぐにゃ曲がるところは少なく、全体からすればそれほど目立つわけではないので、この作業は割と少な目に済みました。


 ディテール作業が終ればボーンの設定です。これはメタセコイアのプラグインKeynoteで設定しています。メタセコイア4には独自のボーン設定もあるのですが、出力先によっては超点数などの条件があるのと、私自身、まだ使い慣れていないので今回は使っていません。


 この時点で概ね様々な場所に使えるモデルにはなっているのですが、せっかくなのでニコニコ動画で人気のMMD(Miku Miku Dance)に使えるようPMX出力と設定も行っておきます。PMXエディターで曲がる部分の細かい設定、IKも組み込んで鰭がよりスムーズに稼働できるようにします。さらにMMDエンジンを導入することで、体のあちこちにある歯車が回転するようになりました。パイプや紐にはここに物理演算用の剛体を設定。これで体が動くとその動きに合わせてパイプや紐が揺れるようになります。


 こうしてモデルが一通り完成です。
 なお、こちら(>ニコニ立体)からダウンロードできるようにしましたので、興味のある方は自由にお使いください。PMXとメタセコイアのMQOファイルも同封しています。

 いかがでしたでしょうか?
 今回はあくまでざっくりとした流れと説明だけになりましたが、今後、また機会があればより細かいソフトの使い方、考えやテクニックなりも書いていければいいなと思っています。
 動画、完成しましたらこちらでもお知らせしますので、よろしくお願いします。



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